『ウルトラセブン』の時代設定 いくつかの時代が混在する世界

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1980年代後半の世界に1960年代や2000年が混在している

『ウルトラセブン』が制作・放映されたのは1967年~1968年でしたが、作品内の時代は、その約20年後の1980年代後半と設定されていたという事は、コアなファン=マニアにとっては知っていて当たり前の常識となっています。

しかし……その時代設定は、厳密なものにはなっておらず、けっこうユルいものだったようで、完成作品『ウルトラセブン』の中には1960年代が入り込んでいるんですよね。

また、1960年代だけではなく、『ウルトラセブン』の世界は本来設定されているはずの1980年代後半よりももっと先の時代=2000年なのではないかと思わせる要素も入り込んできています。

このページでは、そんな1980年代後半と設定されているはずの『ウルトラセブン』の世界の中に入り込んでしまった1980年代後半ではない要素を挙げていってみることにします。

まあ…コアなファン(マニア)の方にとっては、「とっくに知っている事」ばかりになってしまうかもしれませんが……。

『北へ還れ!』では相撲中継で柏戸の名が、『円盤が来た』では野球中継で堀内投手・川上監督の名が聞こえてくる

第24話『北へ還れ!』で北海道から上京したフルハシの母親がテレビで大相撲を見ているシーンではハッキリと柏戸の名前が聞こえてきます。

大鵬とともに柏鵬時代を築いた元横綱・柏戸は1958年に入幕を果たし、1969年に引退しています。

そして、第45話『円盤が来た』で福新青年が少年(ペロリンガ星人)の家を訪ねた場面では、プロ野球中継の音声が聞こえてきますが、堀内投手、川上監督といった名前がハッキリと聞き取れます。

1966年に新人王と沢村賞を受賞した巨人の堀内投手は1983年まで現役を続けましたが、川上監督は1974年を最後に監督の座から退いています。

『勇気ある戦い』で治少年が見ていた新聞にはハッキリと昭和43年の日付が入っている

第38話『勇気ある戦い』には心臓手術を受けなければならない治少年が「心臓移植の患者 死ぬ」という見出しの記事が載っている新聞を見ている場面がありますが、この新聞の日付が【昭和43年(1968年)5月16日(木曜日)】となっている事がハッキリと確認できます。

ちなみに『勇気ある戦い』がオンエアされたのは昭和43年(1968年)6月23日でしたから、この新聞の日付は、その一ケ月ちょっと前のものということになりますね。

ダンとソガがスコーピオン号に搭乗したのは西暦2000年!?

第43話『第四惑星の悪夢』でダンとソガは地球防衛軍が開発した長距離用宇宙ロケット=スコーピオン号にテストパイロットとして搭乗しています。

眠っている間にスコーピオン号が着陸していた星で目を覚ましたダンが、機内の計器類の中にあるカウンターで何月何日なのかを確認している場面がありますが、この時にカウンターに表示されていたのは【2000 8 30】という数字でした。

これは、おそらく西暦2000年8月30日を示しているものですよね。

人類の約半分くらいはタバコを吸っている!?

第8話『狙われた街』で何者かがタバコの中に「他人は全て敵に見えてくる」という効力を持つ赤い結晶体を仕込んでいたのを知った地球防衛軍・科学班のカネダは結晶体の効力について語った後で

「それをタバコに仕込むとは恐ろしい事を考えたものです 人類の約半分くらいはタバコを吸っているんですからね」

と語っていました。

2017年の日本では成人男性の喫煙率は3割弱となっていますが、『ウルトラセブン』が制作・放映された1967年~1968年の日本ではなんと成人男性の喫煙率は約8割となっていました。

ですから、「人類の約半分くらいはタバコを吸っているんですからね」という台詞をスンナリ受け入れることができたんですね。現在なら「そんなに人類はタバコ吸ってないよ」とツッコミを入れたくなるところですが。

深夜2時にテレビがやっているはずがなかった時代

第47話『あなたはだぁれ?』では深夜2時すぎにテレビが放送されている事が、あり得ない事として扱われています。

現在の日本で生きている私たちには全く考えられないことですね。

なお、1971年~1972年に制作・放映された『帰ってきたウルトラマン』の第21話『怪獣チャンネル』でも深夜にテレビが放送されているのはあり得ない事として扱われていました。

そして、最終回『史上最大の侵略 後編』の「30億全人類」

そして、なんといってもよく知られているのが、最終回・第49話『史上最大の侵略 後編』でゴース星人が地球人類が降伏に応じない場合に実行すると宣言してきたのが「30億全人類の皆殺し作戦」だったということですね。

『ウルトラセブン』放映・制作当時の世界人口は三十数億人で、これが1980年代後半には約五十億人に、そして現在(2017年)では七十数億人になっています。

もしも、ゴース星人が地球にまた攻めてきたら、今度、彼らが実行しようとする作戦は「70億全人類の皆殺し作戦」になるのでしょうか。

【2017年11月21日】

続けて作品世界多角的研究7『市川森一氏が創造した『私が愛したウルトラセブン』の現実と虚構』のページをご覧ください

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