第38話 勇気ある戦い

勇気ある戦い
勇気ある戦い

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ストーリー

原因不明の濃霧が発生した箱根で30台の車が消えるという事件が発生し、ウルトラ警備隊が調査に赴いたが、その時、ダンはアンヌの友人・杉崎ゆき子の弟=治が入院中の病院にいた。

翌日に心臓手術を控えていた治は、失敗を恐れ、手術を受けることを嫌がっていたが、「人間の科学は人間を幸福にするためにあるんだ」というダンの説得を受けて手術を受ける事を決意し、ダンは手術に立ち会う事を約束する。

翌日、治の心臓手術の執刀医=ユグレン博士を空港で出迎え、病院に向かっていたアンヌとゆき子が渋滞に巻き込まれていると、そこに巨大なロボットが現れ、車を次々に体内に飲み込み始めた。

アンヌたちの乗った車もロボットに飲み込まれかけるが、危ういところでウルトラセブンが、それを阻む。

車を飲み込んだロボットが、宇宙ステーションと合体していた事を知ったウルトラ警備隊は、次にロボットが現れた時にスペリウム爆弾を搭載した車をロボットに飲み込ませておいて、宇宙ステーションと合体したところで爆発させる事にする。

作戦は成功し、宇宙ステーションは破壊された。しかし、ロボットは無事で地上に降りたち、暴れ出し、瓦礫の下敷きとなったダンが負傷してしまう。

治の手術中の病院に迫るロボットを食い止めるため、ダンはウルトラセブンに変身。しかし、セブンのエメリウム光線アイスラッガーもロボットには効果を発揮しない。そこで、セブンは、ミクロ化し、フルハシが使用していたエレクトロHガンの中に入り、自らを弾丸と化し体当たりを敢行してロボットを大破させた。

ウルトラセブンの捨て身の活躍もあって、治の手術は無事に成功した。

ウルトラセブン 第38話『勇気ある戦い』の謎

ダンもアンヌも「公」と「私」がグチャグチャ

『勇気ある戦い』ではダンもアンヌも「公」と「私」の切り替えが全然できておらず「公私混同」というか「公私グチャグチャ」です。

ダンは、キリヤマが知らないうちに治が入院している病院にウルトラ警備隊の制服を着てポインターで出かけていましたし……そのダンに言われるままにキリヤマの了承を得ることもなく、ユグレン博士を迎えに行くアンヌ。

ダンもアンヌもまるで、治の手術を成功させることが、ウルトラ警備隊の任務であるかのように振る舞っています。

そして、そんな二人をキリヤマも咎めようともしません。

この『勇気ある戦い』でのダンとアンヌの公私グチャグチャぶりは、いったい何だったのでしょうか?

ダンが口を滑らせて以降、ウルトラ警備隊は敵をバンダ星人と特定したのか?

バンダ星人の宇宙ステーションが撮影された写真を見たダンは、「これはバンダ星人の宇宙ステーションじゃないか」とウッカリ口を滑らせてしまいます。

ウルトラセブンであるダンだからこそ宇宙ステーションがバンダ星人のものだとわかったわけですが、「ダン お前 どうしてそんなことを?」とフルハシに問われても、もちろんダンは本当のことを話すわけにはいかず、「いやー ちょっと…」などと有耶無耶に応えてごまかします。

しかし、事件解決後にキリヤマは「我々は勝ったんだ バンダ星人のロボットに」と言っています。

ダンが発した一言でウルトラ警備隊は、敵をバンダ星人と特定してしまったのでしょうか? ダンが、宇宙ステーションをバンダ星人のものと断定した理由を説明できなかったというのにです。

『勇気ある戦い』のように渋滞する道路

ウルトラセブン 第38話『勇気ある戦い』の謎への推察

愛される防衛組織を目指す地球防衛軍は市民のための活動を「公務」として認めているのか?

地球防衛軍 極東基地は日本にありますが……あらゆる侵略から地球を防衛するための国際的な軍事組織とはいえ憲法9条に「戦力の不保持」を明記している日本に「軍」と名のつく組織の基地を設けるのには、様々な方面からの反対・抵抗があったことは想像に難くありません。

そのため、極東基地では、地球防衛軍を一般市民に愛される組織にする事に力を入れていて、可能な限り市民のための活動をする事を防衛隊員たちに推奨しているのかもしれませんね。

そうだとすれば、心臓手術を受けなければならない少年を励ましたり、手術の執刀医である医師を空港まで迎えに行く事も地球防衛軍の隊員の「公務」として認められたのかもしれません。

仮に「公務」と認められるまではいかなかったとしても、ウルトラ警備隊の隊員が心臓手術を控えた少年を励ますために制服を着てポインターで病院に行く程度の事は、「愛される地球防衛軍」の実現のために黙認はされていたのでしょう。

キリヤマがダンが言ったことを信じていただけで公式に敵をバンダ星人と認定したわけではないのかもしれない

キリヤマはダンのことを非常に信頼していますから、宇宙ステーションを見てダンが「これはバンダ星人の宇宙ステーションじゃないか」と言っていた事の根拠が不明であっても、「ダンが言う以上 今回の敵はバンダ星人に違いない」と信じ込んでしまったのかもしれませんね。

ただ、根拠もなしに公式の文書などで敵をバンダ星人と特定するわけにはいかなかったはずだと思いますが。

【2017年9月21日】

続けて 各話研究 第39話・第40話『セブン暗殺計画 前篇・後編』のページをご覧ください

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